書評:読むだけで「会計センス」が身につく本! 餃子屋と高級フレンチでは、どちらが儲かるか?

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書評

父親の急逝をきっかけに会社の代表になる娘が会社の再建のために、元上場企業の社長で、今は大学院で会計を教えている公認会計士から助言や示唆を受けながら、会計・財務の視点から、会社を改革していく話です。自分がその主人公の娘さんの立場ならどうするか、ストーリー仕立てで読み進めていくことができます。

扱う商品の値段で会社の利益は決まるものではなく、固定費、変動費、損益分岐点など、様々な要因を業種や自社の強み・成長の方向性などと合わせながら検討していく必要があるという物です。

読み物としてもとてもよくできていますので、会計はちょっととっつきにくいなと思っている人などにも、入門書として、おすすめできるものだと思います。

ジャンル: 会計、財務、管理

経理のなかには
主計:会計帳簿を作成して決算を行う機能
財務:資金調達
管理:売上の過多、原価・在庫コントロール、設備投資検討
などありますが、この本では管理的な側面から話が進んでいきます。

内容:

会社の活動を可視化するための会計、これに尽きると思います。ただ、「だまし絵」「隠し絵」の例が挙げられていますが、同じ数字を見て、見えてくるものが人によって違うのも会計の難しさだと思います。主人公は詐欺にあったり、終盤ではさらに財務知識を試されるような状況に陥りますが、それを師である公認会計士からの知識や経験で乗り越えていく話です。

利益は差額

現金は、材料になり、仕掛品になり、製品になり、売掛金になり、最後に再度現金になって帰ってくる。その時に、入れた現金より増えていれば、”現金製造機”という優良な会社組織となり、この装置は使おうが使わまいが、”維持費用”がかかる。うまく働かないと、その会社は後に大変なことになる。

少ない資金を高速で回すコハダの売っているか?!

在庫は少なく。

月次決算書は学生時代のテスト結果のようなもので、目標を達成するには自分の弱点から目を背けない事。そこで見えてくる、計画と実際との差異は原因も含め、きちんと特定化・可視化する必要がある。

損益分岐点売上(Break Even Point / BEP)を常に意識すること。BEP=固定費÷限界利益率

商品を絞り、ブランド価値を上げる。ブランドとは
1.品質や機能が全く同一であるとしても、高い価格で販売できる(価格優位性)
2.顧客が反復継続して購入するようになり、安定した販売数量を確保できる(ロイヤルティ)
3.異業種や海外市場への拡張を可能にする(拡張性)

粉飾決算の見破り方:在庫(利益先食い)、売掛金、期をまたいだ費用の付け替え・繰り延べ、連結外し

製造原価を削減するためには:
1.工場の維持費
2.材料費
3.製造スピード
工場は製品という価値を作りこむ場所ではあるが、作業者や機械設備はいつも価値ある活動をしているわけではない。これを可視化できるか。

材料費を減らす:
1.必要なだけ買う
2.不良品を減らす
3.必要数以上に製品は作らない

製造リードタイムを下げる:製造スピードが速くなるほど、製品原価は少なくなり、少ない資金で生産できる

異常点への気づきと、その原因の究明

夢を実現するためには何をすべきだろうか?
財務基盤を安定させるには収益(売上)を増やし、費用(原価)を削減する。魅力ある製品を沢山、しかも高く売らなければならない。そのための具体的な行動とは?人材は?

バランスト・スコアカード
1.財務の視点
2.顧客の視点
3.業務の視点
4.学習と成長の視点

その他:

私は若いときに上司から3つの言語を覚えなさいと言われました。

取ったのは簿記2級まででしたが、今でもとても役に立っています。
若い人ほど、その習得のための時間、知識への投資をおすすめしたいと思います。

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