米国株に関心を持つ人が増えてきました。ただ、配当に関心を持たれる場合など、配当込みのデータを準備するのは意外と難しい場合があります。そのようなときに簡単に必要なデータを提供してくれるのがStockcharts.comです。以下でその使い方をみてみましょう!
元記事は 2019/04/21 noteに書いた記事 と2021/05/31 noteに書いた記事になります。
12枚のミニチャート表示方法
Stockchartsでは以下のような12枚のミニチャートで銘柄ごとの一覧を表示させることができます。
上のチャートは以下のリンクから再現可能です。
”Candle Glance of ”の枠に表示させたい銘柄コードをカンマ区切りで入力することで表示することも可能です。
上記例では以下のようなコードを入力しています。
AAPL,MSFT,GOOG,AMZN,TSLA,FB,NVDA,MA,ADBE,NFLX,CRM,DIS
銘柄比較チャートの表示:Seasonality
期間を指定しての各銘柄の比較チャートも簡単に表示することができます。
Seasonalityという機能を使うと選択した銘柄の期間内での騰落率を比較できます。
このチャートの以下のリンクから表示させることができます。
今回の例では表示期間を60日にしてあります。
表示期間を500日にすると以下のようになります。
日数変更は右下の[days]の数値を変えることで行えます。
こういった情報は
で、情報発信中です。
また面白い機能としては基準銘柄からどれだけアウトパフォーム、アンダーパフォームしたかを知ることもできる機能です。
先ほどと同じ画面の右上のボタンのように表示されている銘柄をクリックして選択された状態にすることで、基準銘柄からの相対パフォーマンスを見ることができます。
上記の例では2020/04/01から2021/01/01までは青の線で表示されているVBK:Small-Cap(小型株)がS&P500に対してオーバーパフォームしていたものの、それ以降その優位性が落ちてきて、現在はS&P500に対して劣後していることが見て取れます。
逆に2021/12月以降ピンク色のVYM:Hi-Div Yld(高配当銘柄)が急速にパフォーマンスが改善しているのが見て取れます。
これを60日で見てみると以下のようになります。」
現在どのような銘柄が強い動きをしているのか、変化が起きそうなのか、相対比較を観察することでその傾向を確認できる可能性があります。
とても面白い機能だと思いますので、是非使ってみてください。
さらに面白い機能は表示されている銘柄を一時的に消すこともできることです。
下の図のようにチェックボックスに見える部分の色部分を押すと一時的にチャートを消せます。
??これをみると、なんか上下対象になっているような、、、?!
大口投資家の投資資金はフルインベストメントの場合もあり、製氷皿の中を資金が動いているとたとえられることもありますが、成長株・グロースから逃げた資金は、えてして配当系のところに行きつくのですかね、、
いろいろ調べてみてください。
2024/01/20 追記
Pythonで正規化をかけて確認すると以下のようになります。
正規化後の相関係数はこちら (VUG:-0.96、XLK:-0.80)
配当込みのデータ、配当無しのデータ
データが入手しにくい場合も多々ありますが、配当込のデータを見るだけなら米国株の場合はstockcharts.comを使うのが一番簡単です。
配当投資では有名なタバコ銘柄のフィリップモリス(PM)の例ですが、
シンボルを PM を入れると配当込の価格推移になり、 _PM 前に_(アンダースコア)を入れると配当無の価格推移になります。以下の例では赤が配当込の価格で、青が配当を含まない価格の5年間分のものになります。
フィリップモリスは5年前も価格が$85位で、いまも$85で価格的には5年間上昇してなくて、配当分だけ株価が上昇したことになります。典型的な割安株、配当株投資という感じでしょうか。
配当?グロース?
これにアップル(AAPL)を表示してみるとどうなるでしょうか。
同じく、5年間で、赤がフィリップモリスの配当込の価格、青がアップルの配当込の価格になります。
5年前にフィリップモリスもアップルも$70前後だったものが、今はフィリップモリスは$85になり、アップルは$200になったといことですね、、過去の価格推移が未来を反映するものではありませんが、この5年間についてはアップルの方が投資効率は良かったようです。
また、別の角度から考察すると、昨年後半の下落ではアップルの下落はなかなか激しかったように見えますので、ドローダウンを抑えた運用を目指す場合には少し工夫が必要そうです。
配当込みのデータを入手するのは結構難しい
Webで株価チャートを表示させるサービスではTradingViewがスタンダートになってきていますが、残念ながら配当分のデータのないものが表示されています。
配当込みのデータの場合はstockcharts.comがおすすめなので、それを紹介したいと思います。
より精密な解析・分析を行いたい場合
プログラムせずに米国配当銘柄に関する考察をしたい場合はどうでしょうか。
プログラム言語pythonでデータ解析を行う場合、配当込のデータがもし、利用可能であるならばそれを利用するのが一番簡単です。ですが、残念ながらそのようなデータはなかなか入手することができませんので、実際には別に配当分のデータを準備して、それと合算してトータルリターンを計算することになります。
以下は私が実際に利用している配当戦略の内の検証時点での損益チャートです。
毎月配当が得られるように配当銘柄を複数保有している状態です。青が価格部分からくるリターンで、オレンジ色が配当から得られるリターン、その二つを合算したのが、緑色の線になります。ただ、なかなかデータを準備するのは難しくなります。
米国、配当銘柄だけでなく、日本でのリートに代表される配当銘柄群もこのような作業で解析等の作業ができるとこになります。
配当以外にも表示可能な機能
逆イールドも実はStockChartsでは表示できます。シンボル欄に
$UST10Y-$UST3M
と入力すると差分の表示ができます。
また
$COMPQ:$INDU
と入力するとナスダックコンポジットとダウとの比が表示できるので、今がナスダックに代表されるハイテクが優勢なのか、ダウ採用銘柄的な旧来型の大型銘柄が優勢なのか判定できます。
逆イールドに関してはもっとダイレクトにどの時期にどのような金利の期間構造だったかを表示することができます。右のグラフで時期を選ぶと、その時の基幹構造が左に表示されます。
実際リーマンショックの少し前に逆イールドが発生していて、下落前の”前兆”的な見方をする人が多いのもうなずけます。
しばらく頻繁にニュースに上がっていましたが、今となっては逆に取り上げる人が少ないのも少し気になるところです。
具体的な表示手順
https://stockcharts.com/ にアクセスしていただき、今回の例ではPM(配当投資では有名なタバコ銘柄のフィリップモリス)の例を挙げさせていただきます。
左上の枠にシンボルコードである PM と打ち込んでいただき、矢印の部分にある Update のボタンを押していただくとチャートが表示されます。
不必要な情報の削除
移動平均や他の指標などを今回はすべて削除します。
Overlays Indicators といったところで選択されているものを
いったん全部非選択 - None – にして同様にUpdate のボタンを押していただきます。
比較の銘柄追加方法1
シンプルなチャート表示になったところで、比較の銘柄の追加を行います。
まずは Overlays のプルダウンメニューから Price (same scale) を選びます。
比較の銘柄追加方法2
Parameters に今回の例では _PM (アンダースコアをシンボルコードの前につける)と入力します。stockcharts.comでは ( _ ) アンダースコアをシンボルコードの前につけると配当無しのデータとなります。
上の画像では青い線が2番目として表示されている銘柄のチャート表示となります。
期間の変更
短い期間だと配当の影響が見えにくいので、以下の例では5年間での比較を行います。期間を5年と指定し、Updateを行います。
また、いわゆるローソク足から Solid Line と言われるようなラインチャートに変更することもできます。
今回の例では
配当分がない(青い線):100ドルだったものが96ドルになっているように見えますが、
配当を加味すると(赤・黒の線)75ドルが96ドルになったという事が分かります。
また、上記では配当に注目し、同じ銘柄で比較しましたが、他の銘柄とパーセントでのパフォーマンスでも比較もできます。
他の銘柄とパーセントでのパフォーマンスでも比較
下の例では PM と SPX (S&P500) の5年間のパフォーマンスチャートを出しています。操作する箇所が数か所あります。
期間:赤 ここでは5年間を選択しています。
表示方法:黄 96ドルといった現在の価格ではなく、期間での%によるパフォーマンスとなります。
チャートの色:緑 PMのチャートの色を今回は red と指定しています。
比較チャート:紫 米国の代表的な指数S&P500に指数 $SPX を同じスケール軸(右側)で表示しています。
配当込みのデータなどで精緻な比較ができますので、便利だと思います。
また、ブラウザ上で特別なプログラミングも必要ないので、初心者にも使いやすい設計だと思います。
興味ある方、いろいろ分析したい方など、ぜひ使ってみてください。
読んでいただき大変ありがとうございました。なにか、不明な点や、質問などありましたらコメント等いただければと思います。できる範囲でお答えしたいと思います。
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